育児期間等への支援

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外国人研究者および留学生の保育環境に関するアンケート”実施報告

平成28年5月に、女性研究者支援室が主体となって本学国際本部と協力し「外国人教員および留学生の子育て環境に関するアンケート」を実施した。

実施の方法

形式:ウェブアンケート
周知方法:部局への通知依頼、国際本部留学生向けMLとポスター、女性研究者支援室ML
回答期間:平成28年(2016年)5月12日~5月25日

結果I  属性と家族・子どもの状況

回答数

154名(女性82名(53%)、男性72名(47%))
女性の課題ではなく、男性も含めた家族の課題である。

身分/職位


主な回答者は学生であり、全体の約7割を占めた。特に、修士課程、博士課程学生は3割超であった。

家族の状況~パートナーの有無と同居・別居

回答者のうち子のいる割合


回答数154名のうち子どもがいる外国人の人数は60名であった。
特に修士課程、博士課程学生に着目し、修士学生のうちパートナーがいる割合は32%、子のいる割合は15%であった。博士課程学生のうちパートナーがいる割合は72%、子のいる割合は54%であった。「留学生=単身」という留学生像とは異なる留学生の姿が見て取れる。
また、研究員、教員のうち、6~7割の回答者は子を養育していた。

子どもありの場合、子の人数


回答者154名の合計子ども人数:94名

子どもの保育状況

回答者154名の合計子ども数:94名  同居の未就学児数:71名
同居未就学児の保育状況内訳

同居している未就学児71名、うち保育園入所46名、保活中15名
同居している未就学児のうち86%は保育園を必要としていた。
(補足)子どもと別居している8名のうち6名は同居を希望(現在の別居理由は不明)
(参考)学内保育園の合計受け入れ可能人数:現在170名

結果II 保育園入園に関して困ったこと

質問「保育園探し方、手続き、コミュニケーション等で困った経験はあるか?」
⇒39名回答(経験あり27名(約7割)、経験無し12名(約3割))
記述式回答内容
A. 保育園入園にあたり困ったこと
・情報入手・コミュニケーション(言語の壁):11件
・保育園に空きが無く希望の時期・園に入園できなかった:8件
B.保育園入園後に困ったこと
・言葉の壁:13件
・希望の園に入れなかった(遠方で登園が大変、兄弟で同じ園に入れない):5件
C.日本での子育て全般について困ったこと、欲しい情報等
・言葉の壁(会話・プリント類):21件
・保育制度(来日前に入園したい、費用面等):10件
⇒H26年12月に実施した、本学部局事務と外国人支援団体への事例調査結果(後述)と同様
・保育園を探す際の情報収集困難、行政担当者、保育園とのコミュニケーションにおける言葉の壁

実施の背景

I.本学に在籍する外国人からの子育て・保育園に関する相談事例

部局事務・外部サポート団体への事例調査

H26年11月医療通訳グループSEMIより「本学所属の若手外国人(研究者・留学生)の子育て(保育・託児)に関する相談が多く寄せられている」との情報があった。そこで、H26年12月に、SEMI, IWC, 各部局を対象に、「本学外国人から保育に関する相談(過去5年間)の有無とその内容について」アンケート調査を実施した。その結果、学内14件、SEMIより39件の合計53件の事例を収集した。特に医療通訳団体SEMIに相談が集中しており、これまでにSEMIの会員個人の善意による無償での同行通訳支援が提供されていことも明らかになった。
寄せられた相談内容は主に、
1.保育園の探し方が分からない(背景には言葉の壁)
2.申し込んだが、空きが無いので入園できない→本人の学業、パートナーの学業・就業に支障
3.入園したが、保育園とのコミュニケーションで困ることがある
の3つに分類された。

女性研究者支援室への相談(H27.4~)

平成27年4月以降、電話・メール・来室いずれかの方法で、外国人本人より支援室に直接相談があった件数は4件であった。うち2件は、「保育園に入所申し込みをしているものの、空きが無く入所できず、困っている」というものであった。また、部局事務または受け入れ研究室教員からの相談は4件あった。工学部、農学部からは、入園・入学手続き等のため、部局事務職員が保育園または小学校へ同行した例も報告された。今後、外国人留学生・研究者の増員が見込まれるため、部局職員同行といった個別対応は極めて困難であり、全学的な支援体制が必要ではないかとの意見も寄せられた。

保育園入園に係る同行通訳支援

外国人留学生等の子どもの保育園入園に際し、外部団体であるSEMI会員個人の善意により無償で同行通訳支援が提供されていた実態が明らかになったため、大学として支援体制を整えるにあたり、女性研究者支援室が本件を担当し、SEMIならびにIWCと協力して保育園入園手続き等への同行通訳支援制度FResHU Supporterを立ち上げた。通訳を担当するサポーターとして、SEMI、IWCの有志に登録してもらった。サポーターによる通訳が実施された際、支援室予算から謝金を支払う、有償ボランティアの形をとっている。(H26.12月~試行、H28.4月~開始)これまでの実施件数は、
H26.12月~H28.3月(試行期間):
H28.4月~H29.3月:28件
である。サポーターへの謝金の支払いは、支援室に配分された予算内で賄う必要があることから、大きく宣伝することは控えざるを得なかった。そのため、実際のニーズより少ない実施件数であると予想される。

II. Hokkaidoユニバーサルキャンパスイニシアチブ(北海道大学スーパーグローバル大学等事業)における課題

スーパーグローバル事業において「世界の課題解決に貢献する北海道大学」を目標に掲げ、外国人教員、女性教員、留学生の比率を高めることを成果指標として明記している。外国人を多く受け入れるための環境整備として、具体的には以下の項目を実行することとなっている。

構想調書より抜粋

○留学生が安心して勉学に集中できる環境を整備する
<課題>
ア 外国人留学生のサポートについて、学内の役割分担が整理されていないこと
イ 学外の各種団体(地方公共団体、NPO、地域ボランティア)との協力が不足していること
ウ 渡日前の支援や、留学生の家族に対する支援が不足していること
<課題に対応した取組み(実施予定)>
(取組3)留学生等の家族への支援として、来日直後の日本での生活確立や役所・病院等公的サービスのアクセスのための補助、上述の札幌英語医療通訳グループとの連携の拡充(H26)、子供がスムーズに就学できるよう、札幌市及び関係小学校等からの情報収集を行い、大学からの情報提供(H26)、学校等との相談のサポートなどを行う(H27)。

これを実現するため、外国人の生活支援を行ってきた国際本部(国際連携機構)と、とりわけ保育園探し等の育児と学業/研究との両立に関する相談に対応してきた人材育成本部女性研究者支援室とで協力し、共通の課題である「子育て環境」について実態調査を行うことにした。